2020
06.18

会社経営にとってメリットが多いテレワーク プリンタ編

DTP, Organisation, Print, System, Teleork

数年前に、某プリンタメーカーの営業と企業のプリンタレス化の話をした。少しずつではあるが省スペース化、コスト削減の一環でプリンタレスが始まっていると。自分の業界では高性能プリンタで出力確認を行うなどの慣例もあり、プリント出力の重要性があったため、他人事の話としてその当時は聞いていた。

たしかにこれまで社内書類はプリントアウトして配布していたが、それがPDFやWordなどのファイルに変わって、配布方法もメールに変わってきている。例えば、給与明細書はクラウドサーバからPDFをダウンロードする方式に変わった。

これは社内だけの流れでなく社外からの配布物もデータに変わり、サイトからのダウンロードやメールなどでの配布に変わってきた。契約書類は未だ書面が多いが、それでも2019年あたりからクラウドサインなどの電子契約も増えてきている。2020年に入って新型コロナウイルスの感染拡大対策として対面的な契約ができにくくなり、さらにオンライン契約が増えたように感じる。

先に述べたとおりで業界的には高性能プリンタでの出力確認などを必要としている慣例があった。ところが、PDF入校が導入された頃からこの慣例も大きくワークフローの流れが変わってきたように感じ、実際にプリント枚数も変化が生じてきたようなので、2019年の4月に弊社のプリンタデータを調べてみた。

実際のプリント数で比較検討

2011年に導入したプリンタの年度別データの中でもっともプリント枚数が多かった2015年と直近1年の2018年のデータを抜粋してみる。前提として弊社は例年2月は日数が少ないこと、協賛しているイベント業務で稼働するため、出力作業がほかの月よりも減るためにプリント枚数が少ない傾向にある。

2015年プリント数一覧

1月分3,209
2月分1,491
3月分2,510
4月分2,815
5月分2,093
6月分2,154
7月分1,930
8月分1,982
9月分3,945
10月分3,459
11月分4,178
12月分3,096
合計32,862
平均2,739

それではまず、2015年のデータを見てみると、月によっては倍以上の違いがあるものの、この頃はまだ出力確認するフローがあったこともあり全体的にプリント枚数が多い印象だ。月ごとの枚数のバラツキについてはそれぞれの月の仕事量に応じてプリント枚数も増減している。1日の平均枚数は137枚(※1)となる。

2018年プリント数一覧

1月分1,959
2月分934
3月分1,550
4月分1,462
5月分1,799
6月分1,400
7月分1,524
8月分1,417
9月分1,287
10月分986
11月分1,198
12月分1,049
合計16,565
平均1,506

次に2018年のデータを見てみると、2015年と仕事量は大きく増減していないのにプリント枚数が減少しているのが特徴だ。さらに1月〜7月までは出力確認している媒体があったが、8月ぐらいからは徐々にそのフロー自体がなくなってきたため、年末にかけて枚数がさらに減少している。1日の平均枚数は75枚(※1)となる。  

年度比較一覧

1月分1,250
2月分557
3月分960
4月分1,353
5月分294
6月分754
7月分406
8月分565
9月分2,658
10月分2,473
11月分2,980
12月分2,047
合計16,297
平均1,358

2015年と2018年での年度比較をするとピーク時の半分程度に減少している。さらに比較数が年末にかけて差が増大している。2018年の9月あたりから大きなフロー変化がプリント枚数からも顕著となっていく。1日平均枚数の年度ベースで約半分であるが、業務形態の変更が見え始めた9月〜12月の4ヶ月での1日平均枚数は57枚となり、3分の1程度の量まで下がっている。

2019年プリント数一覧

1月分1,509
2月分324
3月分993
4月分376
合計3,202
平均801

さらに追加で2019年の4月までのデータを抽出してみた。1月は減少傾向は見られるものの大きな差になっていない結果となったが、それでもかなりの減少が見られる。1日の平均枚数は40枚(※1)まで減少している。

また別の視点から、カラー:モノクロの比率を比較してみる。モノクロ=1とした場合の年度比較してみると、

  • 2015年 カラー:モノクロ=6.24:1
  • 2018年 カラー:モノクロ=1.10:1
  • 2019年 カラー:モノクロ=1.19:1

プリントアウトでの確認フローは概ねカラープリントであることからも2015年と比べ、2018年から形態変化がうかがえ、2019年には確認フローがなくなってきたことがわかる。さらにモノクロプリントの内訳を調べてみると、経費精算書や領収書類を含めた社内文書のプリントアウトやコピーの割合が70%程度であり、カラープリントも取材先への地図であったりと特にカラーで印刷する必要のないプリントが多いこともわかった。さらにプリントミスも10%以上起こっていた。

※1=月の平均稼働日数である20日で計算

テレワークの条件

テレワーク化を決定する条件として、高性能な大型プリンタを保持していくかも重要な争点のひとつだった。大型プリンタを使ったワークフローを継続していく場合はオフィスワークがマストとなる。このフローを変更および削減しなければテレワーク化はできない。そのため、2019年の4月に今回のデータを比較検討し、さらにワークフローの将来性も考慮し検討を重ねた。

その結果、従来から高性能プリンタで出力確認を行うなどの慣例は入稿形態の変化とともになくなる傾向にあり、事実として2018年〜2019年のデータでも枚数はどんどん減少している。2018年の後半からプリント枚数の内容が業務に関わるプリントから社内文書のプリントへ変わってきた。経費削減も考慮して社内書類の電子化を進め、クラウドサーバでのデータ共有やメール/チャットでのデータの受け渡しすることによって、データそのものを大型プリンタでリントする必要はなくなり、さらに減少することも見えてきた。これを鑑みると、今後はリース料を支払ってまで大型プリンタを保持する費用対効果は得られないという結論となった。

これでテレワーク化への条件がひとつクリアしたことになる。

さらに大型プリンタの設置スペースは二人分以上の作業スペースを必要としていた。このスペースがなくし、テレワーク化することで本社に常駐したオフィスワークをなくすことができる。また本社機能をフリースペース化に特化すればフロアスペースを縮小し、事務所家賃などの固定費を削減することが可能だ。またプリンタ自体をなくせば、リース料や紙代などのTOC削減につながる。

ただし、問題点がないわけではない。2019年当時は、経理業務における保存書類にA3サイズの書面もまだあって、そのプリントをどうするかの課題はあった。また、減少傾向にあるとはいえ、高性能プリンタで出力確認を行うなどの慣例が完全になくなったわけではない。

テレワーク化はアウトソーシングがポイント

子会社を設立時に社内にプリンタを設置するか検討したことがあった。使用頻度によるリース料との費用対効果や、小型プリンタの機器代や消耗品との費用対効果を考えるとセブン-イレブンのプリントサービスでプリント都度に支払ったほうがいいのでは……となって、実際に子会社はそれで運用している実績がある。ここでの経験を活かして、弊社がテレワーク化するにあたりA3までのサイズや高クオリティが必要なプリントはセブン-イレブンで行うことで対応した。

数あるコンビニの中でなぜセブン-イレブンなのかというと、マルチコピー機のプリンタメーカーが富士ゼロックス製であったからだ。富士ゼロックス製のプリンタによる出力クオリティは非常に高く、印刷業界において評価が高い。一時期、民生用の高性能プリンタから撤退していた時期があって、弊社としては同等クラスのクオリティとされたCanon製を導入したこともあるが、それまではずっと富士ゼロックス製の高性能プリンタを採用していた。そのため、富士ゼロックス製によるプリントされた色の再現性への信頼はかなり厚い。その富士ゼロックス製のマルチコピー機がセブン-イレブンに導入されていて、あの高クオリティのプリントがコンビニで気軽にできるというだけで、一択の選択となった。

富士ゼロックス提供

そのセブン-イレブンからマルチコピー機の様々なサービス で、この富士ゼロックス製プリンタでプリントができる。

印刷できるファイルの種類もJPGなどの写真データからWordやExcel、PDFなど豊富だ。使用可能なメディアもmicro SDやSDカード、USBメモリなども使える。

また、netprint で自宅からサーバにアップしてメディア等を介さずにプリントアウトできる。サービス提供は富士ゼロックスだが、セブン-イレブンでプリントアウトができるサービスだ。

料金は、メディアから普通紙にプリントした場合は、

  • モノクロ=10円/枚
  • カラー(B5/A4/B4サイズ)=50円/枚
  • カラー(A3サイズ)=80円/枚

netprintを利用した場合は、メディアからのプリントよりちょっと料金割高になるが、メディアを持ち歩かないで良いのは非常に便利だ。さらに法人契約を結ぶと社内におけるプリント管理がnetprint上でできるようになる。業務効率の改善やTOC削減など、テレワーク環境においても非常に便利なサービスといえる。

支払方法は現金だけでなく、セブン-イレブンの電子マネー「nanaco」でも支払えるのもキャッシュレスで便利だ。

このセブン-イレブンの富士ゼロックス製マルチコピー機を使うことにより、社内に大型プリンタを保持する必要がなくなった。これでテレワーク化してもプリンタ問題は十分に解決する。

テレワーク移行後のプリント事情

テレワーク化した後も業務でA3サイズ以上の大きさの高クオリティ出力が必要な場合がまれにある。プリンタがあったオフィスワーク頃はA3ノビまでは社内で対応し、それ以上の大きさはは、東京リスマチック株式会社株式会社帆風キンコーズ・ジャパン株式会社 などのサービスを利用していた。今は、A3ノビからこれらサービスを利用することになったが、テレワーク移行後の1年間で使用した金額合計は10,000円程度である。

また、社内書類のデータ化も一層進み、書類サイズの規格化も進めた。サイズをすべてA4化したことで税務等で書面保存が必要な社内書類のプリントは、セブン-イレブンからA4サイズのプリント向きな家庭用インクジェットプリンタでの出力に変わっている。

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しかし、クオリティが必要でA3サイズまでのプリントはこれまで通り、セブン-イレブンで出力している。書面のデータ化によりプリント自体が減り、安価で便利な家庭用インクジェットプリンタ導入などで印刷フロー面やコスト面をさらにソリッド化したが、プリントのアウトソーシングを止めるわけではない。大量プリントに向かない家庭用インクジェットプリンタとアウトソーシング先とを使い分けることで普段用と緊急対応用、さらにはリスクヘッジが可能となった。テレワーク化して以前よりもプリンタに関わるフローが明確化され、またTOC削減した環境となった。大型プリンタを保有していたオフィスワークと比べて、コストの面でも機能の面でもテレワーク化したほうが便利になった。

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