2020
06.09

紙 -寸法-

DTP, Organisation, Paper, Print, Size, System, Teleork

日本において紙の寸法はA判やB判が代表的なサイズだ。ビジネスシーンでは、今やA4サイズが最もポピュラーであろう。家庭用プリンタもA4が一般的だし、本棚やラックなどでもA4サイズが収納できることをうたったタイプが多い。

紙のサイズ寸法については、

紙の寸法

を参照してもらいたい。紙サイズは縦横比が1.414の白銀長方形が多いので、B5をA4に拡大コピーは114%の比率拡大でできる。またA4サイズのプロっぽい言い方で、A4が210mm×297mmであることから「にひゃくとうのにーきゅうなな」と寸法で表現することもある。

紙の単位を知っている?

紙の単位が『枚数』で示される場合も多いが、紙の重さや厚さを表す単位に『連量』があることは意外と知られていない。これは全判、いわゆるA1やB1などのサイズ1000枚の重さを「kg(キログラム)」で換算した単位だ。

紙を扱う専門家としては『連量』はピンとくるが、A1やB1のサイズの全判の『連量』はピンとこない。それは自分らが紙を扱う場合は、A4正形の印刷物を制作する場合にA4用紙に印刷するのではなく、それよりも一回り大きいサイズで印刷し、A4サイズに断裁するからだ。さらに印刷コストによってA4が8枚=A1サイズより大きい菊判サイズの用紙で印刷して断裁して1回の印刷で8枚刷ったりするので、『連量』を使う時は菊判や四六判でないとピンとこない。

また、紙のプロは麻雀のモウパイならぬ、紙をつまんで厚さを感じて「この紙は菊判の76.5kgだな」とピタリと『連量』を当てられる人がいる。本当にサイズを当てる人は多いのだが、まれに知ったかぶりというか格好つけている人もいる。
「この紙は70kgだな……」
と紙を触りながらいう人に、
「何判?」
と聞き返すと、その紙を触っている人が
「??」
と困惑した顔になる。『連量』は判によって重さが違うので何判の何kgか答えないと紙のサイズがわからない。このような知ったかぶりな人は昔は結構いたのを記憶している。

印刷物は断裁されてそのサイズになる

一般のオフセット印刷でよく使われる『連量』は菊判か四六判の全判1000枚が標準的だ。新聞広告党のタブロイドサイズは別として、日本では雑誌サイズやチラシサイズ、ポスターサイズやカタログサイズはA判B判ベースのものが多いからだ。ただ変形サイズは多々あるので、あくまでもベースだ。

A判の印刷=菊判
B判の印刷=四六判

菊判に印刷し断裁してA判に、四六判に印刷して断裁してB判になるのが一般的だ。しかし、大きなロール紙から印刷する輪転印刷の場合もあるが、この場合でも紙の単位は基本的に『連量』となる。

印刷サイズの標準化「A4」

これまで印刷物の最終サイズに合わせて一回り程度の大きさで刷ってから断裁するので、サイズはA4変形などさまざまなサイズで問題はなかった。ところが。ユニバーサルデザインの流れからのフラットデザインが主流になりつつある昨今、変形より正形が増えた印象がある。A4印刷の価格が低価格化したこともあるだろう。いろんな印刷物がA判化していると感じる。

企業の文書管理もA判で統一されているほうがアーカイブとして機能しやすい。また、データでサーバにアップしてそれを各自ダウンロードして各自の環境のプリンタで印刷する……なんて今どきは珍しくない。先にも述べたが家庭用プリンタはA4が一般的だ。世界的にも日本のようにA4にサイズ統一されていく流れがあると個人的には思っている。

そんなおり、例年5月中旬ごろ各市町村から「給与所得等に係る市民税・都県民税特別徴収税の決定通知書」が届く。今年は新型コロナウイルスの影響か例年より若干遅かった印象だが、5月末には弊社の社員の全市区町村から届いた。

昨今のテレワーク化の一環で文書のデータ化は必須業務となっており、スキャンしてデータ化した。弊社に送られてきた市区町村は決定通知書がB4もしくは若干B4より大きいサイズだ。市区町村はデータ化される前提で作っていないだろうし、そもそもで言えば、もう何年もこの形式で郵送されてきているので、誰も疑問に思っていないだろう。

しかし、もともと各省庁ではJIS規格のB判を採用していたが、バブル崩壊後あたりで行政からの文書はA判統一になったのではなかったかと記憶している。そこで調べてみた。

国立研究開発法人科学技術振興機構
戦後日本の公文書管理改善運動における 「保存」と「廃棄」の位置
レコード・ マネジメント概念の導入と国立公文書館

上記サイトにある文書にも記載されてるので間違いない。各省庁のA判化は100%近く移行しているそうだ。しかし、これには地方自治体は含まれていないのかもしれない。未だB4もしくはB4変形で送られてきているので。しかし、日本として各省庁、地方自治体などいわゆる公官庁の紙の規格ぐらいは同じにしてもらいたいと思う。ここに個性というか独自性はいらない。

日本のA判統一への行方……

A判はJIS規格(日本産業規格)とISO規格(国際標準化規格)とも同サイズだ。ちなみにB判はJIS規格とISO規格で寸法が違っている。だから、それだけでA判に統一する価値がある。文書管理の効率化や経費軽減などを考えると用紙サイズは統一された方が良い。どうぜ統一するならこの国際社会において、国際標準と日本標準が同サイズのA判化する流れは自然だし、「A4とB5」や「A3とB4」の混在環境では大は小を兼ねる的な流れあるかと思う。やはりA判化へ移行は世界標準であり、公官庁だけでなく日本全体の流れであるとやはり感じる。

最近では社会保険や年金に関する書面もA4化された。厚生労働省は、

文書管理事務の効率化、民間負担の軽減等に資するため、特別の事情のあるものを除き、平成五年四月以降できるだけ速やかに原則としてA四判に統一する。

行政文書の用紙規格のA判化に係る実施方針について

と、している。1993年から始めてやっと最近、社会保険や年金関係がA4に移行したのだから、地方自治体がA判化するのもまだまだこれからなのかもしれない。

A4に規格統一したその先にあるもの

ちなみにだが、弊社も何度か社内文書の規格統一を図ってきた。さらに今、テレワークを推進していく中で文書管理の効率化や経費軽減なども考慮してすべてA4のみに規格を統一した。社内文書や外部文書(各省庁や自治体、クライアント、さまざまな契約している会社などからの書面)はすべてデータ化している。社内文書は保存義務のある書面だプリントアウトしてA4ファイルで保管。外部文書はサイズがまちまちなのでクリアフィルにてA4ファイルに保管している。

文書をデータ化したこと、保管文書のプリントサイズがA4だけになったことで、さまざまな用紙サイズが収納ができ、かつ大量のプリントに便利な大型プリンタの必要がなくなった。さらにデータ化したことで文書の保管量が最小限化され、保管方法をA4ファイルに統一したことで省スペース化した。これらのプリンタや保管スペースの縮小によって事務所家賃などの固定費を大幅に削減。また、プリンタのリース料や紙代、ファイルの一括購入などで消耗品費もかなり削減でき、合わせて相当なコストダウンとなった。別な観点でいえば、大量プリントがなくなって紙資源の使用頻度が大幅に下がり、印刷ミスによるゴミも減らすことができるなど社会貢献度も高くエコにもつながるのだ。

こういったノウハウやグラフィックデザインのプロの観点から、市区町村などの地方自治体が作る「給与所得等に係る市民税・都県民税特別徴収税の決定通知書」などの用紙を全国的にサイズ統一してコストダウンが容易にできる方法があることを専門家として実はわかっている。ただし、その類の仕事が依頼されたことはまだない。

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